でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

書籍・雑誌

海賊の世界史 - 古代ギリシアから大航海時代、現代ソマリアまで

すでに指摘したとおり、東地中海の沿岸地域から十字軍は撤退したものの、海上においてはヨーロッパ側に優位な状況が続いていた。その理由として、海軍史家のルイスとランヤンは、次の三点を指摘している。 第一が政府・行政機構の発達の差である。ヨーロッパ…

大航海時代の日本人奴隷

――使用例としては、「その他のいかなる奴隷、いかなる民族であろうと、解放奴隷であろうと、カティーヴォであろうと、大きなカタナを帯びた者を(ゴアへ)連れてきてはならない」とするインド副王政庁の禁令があり、「カタナ」の部分はローマ字で「catana」…

フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体

先日、ふとした興味から『世界の火山図鑑』を読んだせいか、もう一冊くらい地質学の本を読んでみようかという気になった。「フォッサマグナ」という言葉は知っていてもそれがなんであるかよく知らなかったことも一因であるが、地質学という学問がどのような…

失脚/巫女の死

たぶんTwitterでフォローしている方が「面白いぞ」的なことをおっしゃっていらっしゃったので興味を持った。残念ながら個人的には二重丸な響きにはならず、表題作品のうち「巫女の死」だけ楽しんだ形となる。本書に納められている作品は以下の通り。 トンネ…

サカナとヤクザ

オリンピックでは持続可能で環境に配慮した魚を提供しなくてはならない。ロンドンやリオではMSC/ASC認証が採用された。通称、海のエコラベルと呼ばれる国際基準を当てはめると、日本が提供できるのは北海道のホタテなど数品目しかないため、2020年の東京オリ…

教養としての「ローマ史」の読み方

もう何年も前のこと、現代で発生していることをいろいろと考えていて、あるとき、目の前にあるものを追っても過ぎ去りゆくばかりで追いきれない、どうやら前の時代を知らねばならないようだと思うようになった。前時代を知るとさらに遡る必要がある。 日本に…

深淵の色は 佐川幸義伝

合気道への興味は長らく在り、しかし、どうにも演武のための練習としか見えてこない。武田惣角、植芝盛平、塩田剛三など、武勇が語り継がれる達人が存在することは知っている。仮に逸話通りのことを体験できたならば、俺には習得は無理wwwとなりそうでは…

世界を変えた14の密約

第1章 現金の消滅第2章 小麦の空売りとアラブの春第3章 租税回避のカラクリ第4章 貧富の格差で大儲けする第5章 肥満とダイエットは自己責任か第6章 国民全員を薬漬けにする第7章 働き方が改革されない理由第8章 終わりなき”買い替え(=アップグレー…

ナポレオン時代

フランス革命後のフランスの歴史についてすっぽり抜け落ちていることに気付いたのと、わりと推している作家がなにかというとナポレオンを引き合いに出すので、なにか文献をあたらねばなるまいと感じていた。ちょっとぐぐって良さそうと思えたので選んだ。本…

歴史をつくった洋菓子たち

このようなタイトルだと「歴史において洋菓子が主役となった1シーン」を収集した書籍だと思うだろう。我が身はそう思った。そういう意味では個人的にはタイトル詐欺な一冊。正確には、歴史を持つ菓子、すなわち「長く愛され続けて時には変化しながら自らの…

クラバート

秘儀っぽく魔法を描写する作品を渇望していた時、どこかで存在を知った。ドイツ近傍に伝わる民話『クラバート伝説』をもとにした童話。既知の書と対照すると雰囲気は『石と笛』に似ている。魔術の取り扱いも。結末は好みではないが、まあ童話ですからという…

リヴァイアサン・シリーズ

かつて、翻訳小説は神であった。ハヤカワFTは聖典であり、ハズレはなかった。それが変わったと感じたのはいつのことだったか。ハリーポッターより前のような気がする。ハヤカワだけに限らず、創元も似たようなところ、つまり半端にライトな作品が増えて、趣…

作って動かすALife / 教養としてのテクノロジー

『作って動かすALife』 『データを集める技術 最速で作るスクレイピング&クローラー』 『Rubyによるクローラー開発技法 巡回・解析機能の実装と21の運用例』 『Pythonクローリング&スクレイピング ―データ収集・解析のための実践開発ガイド』 上記三例、こ…

星界の戦旗VI

Vから5年。間を問うよりも、続刊があることをうれしく思う。かつて、続き物は長く間を置かず発表されるものと思っていた。完結させるのがパブリッシャーを含めた発表側の責任だと。やがて、そうではないことを知り、長く続きすぎて腐れ果てたりすることを知…

死体は嘘をつかない

プロローグ的な序章と、続く著者来歴の章はアメリカンなマッチョってカンジではずれを引いたかなという印象がある。三章、四章で読み進められそうな希望を抱き、五章で面白くなった。本書は、検死結果が法の裁きにおいて絶対の証拠にはならないという事例集…

『聖書の成り立ちを語る都市:フェニキアからローマまで』『すごい物理学講義』

『聖書の成り立ちを語る都市:フェニキアからローマまで』 聖書の成り立ちを語る都市:フェニキアからローマまで posted with amazlet at 18.06.16 ロバート・R・カーギル 白水社 売り上げランキング: 33,709 Amazon.co.jpで詳細を見る いわゆる「社会科」に属…

誰も語らなかったジブリを語ろう

誰もが好きであるに違いないジブリ作品を、なぜそんなに好きではないのだろう。知人らがジブリについて語っているとき、言葉にはせずとも否定的な印象が沸き立ち、話題に乗れないことを自分のことながら不思議に思っていたことがある。アンチというわけでは…

ベルガリアード物語とマロリオン物語

再読。何年か前に『魔術師ベルガラス』全巻と『女魔術師ポルガラ』をちょっとだけ読んだ。楽しむよりもこんな雰囲気だったっけというような違和感のみを覚えて、後者を読破できなかった。前年末、唐突に『ベルガリアード物語』を読み返したくなり、読み終え…

毒見師イレーナ

まず、この読物は乙女が胸トキメカせながら読むものであって、おっさんがハナクソほじりながら読むものではない。つまり、我が身は適正な読者ではない。適正ではない読者が手を出した理由はキャッチ―なタイトルにある。毒見「師」っていったら職業とか匠とか…

「宇宙戦艦ヤマト」の真実

『宇宙戦艦ヤマト』に思い入れはない。通してみたことがなく、固有名詞を多少嗜む程度にしか知識がない。知人に好きものがいれば情報は降り積もってくるものだ。原作者にまつわるトラブルがあると知ったのはいつのことだったか。その中に豊田有恒というあま…

サピエンス全史

哲学者や思想家や預言者たちは何千年にもわたって、貨幣に汚名を着せ、お金のことを諸悪の根源と呼んできた。それは当たっているのかもしれないが、貨幣は人類の寛容性の極みでもある。貨幣は言語や国家の法律、文化の基準、宗教的信仰、社会習慣よりも心が…

バッタを倒しにアフリカへ

ラマダンにより幸福のハードルを下げるという考え方は、私的には新しかった。個人的に、食べ物をおいしく食べるために粗食とあまりそうでないものを織り交ぜる食生活を送っているが、そういう風には考えていなかったことに気付かされた。ファーブルという昆…

応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱

応仁の乱についてろくすっぽ知らないことに気付いて、読んでみることにした。ろくすっぽ知らないので、本書の内容を吟味することはできない。ただ、学者というものは文理問わず恣意的なことをやるらしいということを再確認した。それを行う他者を批判する自…

土木の歴史

本書が語る土木とは、交通網を主眼としている。馬車の発達が道路の発達を促し、物流からの要求が河川工事を促し、河川の発達が橋の工法を促進させ、産業革命に至っては鉄道が、自動車の普及に従ってハイウェイが主流となった時代と技術の変遷を物語っている…

裁判所の正体:法服を着た役人たち

HONZで既知とした。何年か前に、検察のシナリオありきなナニについて話題になった。ナニにはアレな相方があった、というのが本書の印象である。組織には自衛の本能が宿るというが、それが権力であった場合、東芝や神鋼のような自壊には至るまい。桑原桑原。 …

ヨーロッパの中世

中世ヨーロッパは、失墜しそして滅びたローマ帝国をどのように見ていたのか、唐突に気になった。ちょっと調べたくらいではこれという書籍が見つけられず、それっぽいものとして見いだせた唯一の文献である本書、大学の教科書として企画されたという本書を端…

読物 タイトル詐欺な二冊

どちらも面白いのだが、 タイトルが主張するところに強いイメージを抱いて読むと、看板に若干の偽りありという印象も抱ける。特にオタク要素がキーワードとして散りばめられているあたり、読み手と時代を選ぶような気がする。 『オスカー・ワオの短く凄まじ…

読物 『性表現規制の文化史』

Feedlyで流れてきたHONZの日次更新分で見かけ、タイトルにではなく、表紙イラストが山本直樹だったことで興味を覚えた。 古代そうであっただろう性風俗と、一昔前にそうであっただろう性風俗が、主にキリスト教を由来とする禁則事項が権力と結合して規制対象…

読物 『最後の秘境 東京藝大』

ラボルトの頭部。私的な出会いはたぶん、高校の美術の授業だったと思う。デッサンの題材となった石膏像に名前があることをはじめて知った。ラボルトさんの頭部像ではなく、発見したラボルト伯爵の名を与えられたことも。ザクなりしボルジャーノン、みたいな…

読物 『黒剣のクロニカ』

平井和正、菊池秀行、栗本薫。これら呪いとなってしまった名の列に、芝村裕吏を加えようと思う。 先に述べた方々には、今よりもものを知らない時に耽溺し、あるとき不意に、なんか遠くへ行っちゃったと感じたものだったが、かつてよりはものを知ったような気…