でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体

先日、ふとした興味から『世界の火山図鑑』を読んだせいか、もう一冊くらい地質学の本を読んでみようかという気になった。「フォッサマグナ」という言葉は知っていてもそれがなんであるかよく知らなかったことも一因であるが、地質学という学問がどのようなものなのか確かめたいという、少々後ろ向きな理由もあった。

本書は、門外漢にとっても分かりやすいと思える。登場する言葉はきちんと説明されているし、前提条件も明記されている。前提条件を満たす読者ではなかったが、初めて目にする言葉や定義にとまどいつつも、著者の言わんとするところは理解できたと思う。先の一冊から得た地質学に対する偏見も払拭できた。偏見というのは、地質学者の文章作成能力と論理的構成能力である。先の一冊はそれをわりと欠いていたように思う。個人の資質か、やっつけ仕事だったのだろう。学問全般のことではないようだ。

本書には、素人にもこれイけとるんちゃうと思える学説と、素人にはいいも悪いも判別できない学説と、素人目にもトンデモと思える学説(いずれも著者自身のものではない)が紹介されている。それらを取捨選択して、現段階では推測の域にとどまっているフォッサマグナの成因と、日本国土に与えてきた影響、与えるであろう影響を語るというのが本書の趣旨だ。筆者は主張していないが、地質学を推し進めるためには国際的プロジェクトか、それに準ずる予算が必要であろうことも察せられた。
地球の内側は推測の領域でしかないことも分かった。学問の壁を越える取り組みもなされ始めていることも分かった。「文化地質学」とか「生物地理」とか、いずれ『銃・病原菌・鉄』みたいにときめかせてくれるのではないかと楽しみである。