読物 タイトル詐欺な二冊
どちらも面白いのだが、 タイトルが主張するところに強いイメージを抱いて読むと、看板に若干の偽りありという印象も抱ける。
特にオタク要素がキーワードとして散りばめられているあたり、読み手と時代を選ぶような気がする。
『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』
読むきっかけになった紹介文を除いて事前に情報を得なかったが、本の帯には受賞歴やらなにやらが飾り立てられていて、文学の新境地的なあつかいをされているらしいことを否応なしに知らされる。
どこに連れて行かれるんだか、まったくわからないお話。どんな決着がつくのか、ワクワクしながら読み進められたが、タイトルは主題ではないらしく、文学らしい投げっぱなしな終着点で、個人的にはあまり好きな結末ではない。
乾いている読者にはおすすめかもしれない。
オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)
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ジュノ ディアス
新潮社
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『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』
いろいろと面白いが、表題をうたうのは最後の一章にのみ。「研究者による研究対象へのねじれた愛情」的な内容を期待してしまった我が身の敗北である。
1970年プラスマイナス5年に誕生したオタクには間違いなく刺さる一冊であろう。