でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

世界を変えた14の密約

第1章 現金の消滅
第2章 小麦の空売りアラブの春
第3章  租税回避のカラク
第4章  貧富の格差で大儲けする
第5章  肥満とダイエットは自己責任か
第6章  国民全員を薬漬けにする
第7章  働き方が改革されない理由
第8章  終わりなき”買い替え(=アップグレード)”
第9章  権力を持つのは誰か
第10章  企業が政府を支配する
第11章  フェイクニュースが主役になるまで
第12章  ロボットと人間の未来
第13章  人類史上最大案件=「知性」の取引
第14章  21世紀のインフラストラクチャー

読前、本書のタイトルから想定していた「密約」とは「近代あるいは第二次世界大戦後あたりまでに行われた大国間の」というものだったが、違った。全て現代のことであり、カネとテクノロジーと権力に由来するものを集めている。1~11章までは、内容からすると「密約」というより「詐欺」と読める。原題は"DONE THE SECRET DEALS THAT ARE CHANGING OUR WORLD"。
いわゆる「常識」の裏付けとされる権威すなわち「科学」の裏付けは概ね「統計」であり、この「統計」上の数字は権威が主張するところに都合がよいように操作されうることが知られている。1~11章までは、この操作を誰かが行っていて、時にそれは権力者や経済的成功者と密接に結びついている。本書で述べられている「健康の基準」については、近年、2011年ごろ、日本でも数値の操作が行われたことが知られている。

それが誰にとってもうまく作用したこともあれば、不利益となったこともある。
アメリカの産業衰退について、アメリカは中国や日本を責めているようだが、本書に書かれていることからすると資本主義を基盤とする合理化の自明、自ら招いた因果に思える。アメリカ車は「安い日本車」が潰したとか言われるが、性能ではなくファッションで商品を売り始め、それが飽きられているのに目をつぶり自滅した。そう読める。

この本がどういう性質のものか判じかねている読者としてピュアな期間、本書から得られるのは絶望だけだった。世界終わっとるやん、そんなカンジ。
慣れてくるにしたがって、こういう主張もあるよねと受け止められるようになり、12、13章で少しは知見のあるものと触れて、読物として面白かったという感想に落ち着いた。14章は、この手の本でありがちな「世界は絶望で満ちているが、希望はある。そうあなたの身近に」的な結びであり、実際には「密約」は13ということになる。邦題詐欺だった。