でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

2021-01-01から1年間の記事一覧

チャリオンの影

ウメガトはふたたび杯を返して壺をとりあげた。 「ときとして、人が心をひらき、みずからを媒体として、神々を世界に迎えいれることがあります」そして杯を満たし、「聖者とは高潔な魂ではなく、うつろなる人間です。天与の意志を進んで神に与え、放棄するこ…

いやいやながらルパンを生み出した作家 モーリス・ルブラン伝

――彼(ジュール・クラルティ)は、シャーロック・ホームズにくらべてどれだけルパンが優れているかを主張した。なにしろモーリス・ルブランはある離れ業に成功している。前もってその犯人を知っているのに、犯罪によってかけられた謎に私たちは夢中になって…

FF14総括

たぶんもう遊ばないので。 遊び続けたゲームの辞め時は、興味が他に移ったとき、過疎ったとき、飽きたときなどが挙げられるが、MMOなど更新が続くゲームだと異なる要素も理由になる。 我慢の限界を超えたとき、だ。 通常これはゲームプレイ初期に発生するが…

『古代の女性官僚: 女官の出世・結婚・引退』『毒が変えた天平時代:藤原氏とかぐや姫の謎』

『古代の女性官僚: 女官の出世・結婚・引退』 いわゆる「女官」は古代日本では官僚のありようを示していたが、次第に高貴な女性の側仕え、あるいは後宮仕えという存在になっていった。天平時代あたりまでは、日本でも女性官僚はそれなりに存在したが、中央集…

目に見えぬ侵略

他者を非難する文章というものは、読んでいて辛いものだ。それが同意できる内容であったとしても。本書についても、中国だからあるだろうなと思いつつも、やはり読みすすめることは難しかった。 幼少の頃、かつての中国圏文化は日本の長兄的位置づけであると…

明治維新の意味

太平洋戦争について考えたとき、そこに至る遠因はなにかと思い、いろいろ読んだ。まずは黒船来航にありという思いを抱き、次に大航海時代に遠因があると感じた。 その過程で黒船来航後の日本は、なんだかんだでうまくやってきたんじゃないかと思うようにもな…

世界史を大きく動かした植物

タイトルのためであろう、序盤、小さくない違和感を得た、主語がものすごく大きな主張がある。 植物について特に詳しいわけではないので、知見を得たことについては真偽を問うこともできないが、上記のことを除いてはまあ楽しめたといえる。

ケルトの想像力

あちこちに掲載された雑誌記事をまとめたもの。そのためか、章ごとに文体が統一されていない。誤字がある。図の画素が荒い。モアレが出ている。など、体裁に不満がある。 文字を持たない文化であったケルトに関することごとを、残された芸術作品から著者が得…

地図づくりの現在形

書評サイトでレビュアーが熱く語っていたので、あてられた。 かつてツーリングをよくしたころ、地図は必需品だった。スマホの黎明期にスマホのナビゲーションでツーリングしたこともあったが電池切れとの戦いで、数時間の連続使用が限界だった。モバイルバッ…

中央アジア・蒙古旅行記

さて、わたしは上述の司祭たち(私注:仏教徒と思われる)のそばにすわってからーーそれは、寺院の内部へ入って大小さまざま、沢山の偶像を見たあとのことでしたーー神についてかれらがどういう信仰を抱いているかをたずねました。すると、 われわれは、ただ…

みんなの知らない世界の原子力

地元市立図書館の今月のオススメ的な棚から。 著者は自身の立場をニュートラルと称しているが、読後の印象では肯定派と思える。主に生活の立場から原発は必要ではないですか?と訴えているように見える。環境問題を絡めているあたり、恣意的に感じてしまう。…

サイバー・ショーグン・レボリューション

著者がMSE(メカ・サムライ・エンパイア)シリーズ、翻訳出版社がUSJ(ユナイテッド・ステーツ・オブ・ジャパン)シリーズと呼称するこのシリーズは、通して好みではない。なぜ3冊とも読んでしまったのか自分でもしかと理由は分からないが、気に入っている部…

兇月面

十代で初めて氏の作品に触れてから変わらぬことがある。ハラハラドキドキさせられることだ。しかし、十代の頃と意味は変わった。読み進めてふと我に返り、残りページ数がほんのひとつまみになってしまっても、物語の核心にミリも迫っていない。そんなときに…

邦人奪還

自衛隊や軍事、アメリカや北朝鮮について全く詳しくないので、本書が取り扱う内容がどれほどファンタジーなのか判断することはできない。アメリカの都合が生んだ自衛隊という組織のいびつさについて描写されているが、うのみにしてよいのかも判断がつかない…

ビット・プレイヤー

マップスにおける伝承族、ハイペリオンにおける転送網と無断借用の計算リソース、エンディミオンにおける不死による恒星間航行。好物といえる物語の構成要素を、本短編集に収められている『鰐乗り』に見出して、グレッグ・イーガンへの評価は定まった。 本書…

ファイナルファンタジーXIV

ファイナルファンタジーはどちらかというと好まないタイトルで、5以降は積極的にプレイすることはなくなった。パーティメンバーがイベントで勝手に死んだりするのが嫌いだった(ドラマチック紙芝居と揶揄していた)が、宝箱にオメガが仕込んであったことが決…

「色のふしぎ」と不思議な社会

医療に限らず、学問とはすべて発展途上、言葉が悪ければ漸次進歩するものであり、学識とはその刹那において最新のものでしかない。個人的な体験としては、ある薬の副作用と思われる症状でふくらはぎがめっぽうかゆくなった。患部を見ると皮下で炎症を起こし…

KGBの男

スターリン時代に情報機関の幹部を務めたパーヴェル・スドプラートフは、西側諸国でスパイをスカウトしようとする情報員に、次のような助言を与えている。「運命や生来的特徴によって傷ついている者を探せ――醜い者、劣等感にさいなまれている者、権力や影響…