いやいやながらルパンを生み出した作家 モーリス・ルブラン伝
――彼(ジュール・クラルティ)は、シャーロック・ホームズにくらべてどれだけルパンが優れているかを主張した。なにしろモーリス・ルブランはある離れ業に成功している。前もってその犯人を知っているのに、犯罪によってかけられた謎に私たちは夢中になってしまうのだから。
P.193
――フランスでは、一九三二年一二月、『アルセーヌ・ルパン』のタイトルで、マドレーヌ映画館で封切られた。派手な広告文(人は言う、「奴は心をも盗む」と)と、まさに「モナリザ」を盗もうとしている謎めいた手が描かれたポスターを使って、大々的に宣伝された。
P.370
――『最後の恋』のプロローグ「アルセーヌ・ルパンの先祖」には、ルパンの祖父、ナポレオンの指揮下、モンミライユの闘いで勝利したルパン将軍が登場する!
P.392
――改めてルブランは冒険物語を賞賛している。いやいやながら書くように仕向けられた、あの冒険物語を。「恋愛小説を想像するように、探偵物語を作り出すことはできない。恋愛感情には、論理や計算や正確な事件解明は必要ない。(・・・)二〇年前の恋愛映画のなかで、今日嘲笑や酷評を逃れるものがあるだろうか?」。
P.395
小学生の頃にシリーズを一通り読破したと思っていたが、『カリオストロ伯爵夫人』は読んでいない気がする。一通り再読するか。