読物 『火星のプリンセス』『宇宙のスカイラーク』
フューチャーレトロなストーリーの元ネタを探りたいと長年思い続けてしかし果たしていなかったのは、楽しめないのではないかという恐れからである。フューチャーレトロなストーリーの元ネタとしては傍流であろうと思われる『銀河パトロール隊』はあまり楽しめなかった。空想科学の骨子とかぶっといコイルとかさておき、物語がアレすぎたためである。
『火星のプリンセス』合本版は、表題となった『火星のプリンセス』と『火星の女神イサス』、『火星の大元帥カーター』の三部作からなる。さまざまな作品の源流の一つと思わせるアイデアを多く含んでおり、元ネタを探るという点ではそれなりに楽しめたが、物語はやはりアレすぎた。
『宇宙のスカイラーク』も同じく、空想科学中の事象を説明するコトバがアレすぎて、物語のアレさとあいまって、楽しんだというにはほど遠い。SFを読んでいるというよりは、ルパン対ホームズを読んでいるような印象だった。
モーリス・ルブランのルパンシリーズは幼少に読んだため、今でも好意的に思えている。
ケイン・サーガなんかは今でも邦訳の続編を心待ちにしていて、その元ネタなんかは火星シリーズのカーターに由来するんであろうと思わせども、出会いが遅すぎたことになろう。