でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

がっかり文学作品メモ

青空文庫を検索できるサイトで30分以下で読めかつ星3評価の条件となる作品を一通り読んで、いつからか持病になってしまった文学忌避症が寛解したと思われたため、1時間以上かかる作品にも挑戦してみることにした。
楽しめるものもあったが、ここには記さない。そうでなかったもの、特にひどくがっかりしてしまったものを記していくことにする。

 

2022.06.10 森鴎外舞姫

主人公がクズすぎるので調べてみたら著者の体験をもとにしているらしいと知れ、そのもととなっているエピソードがアレすぎて二重にがっかり。

2022.06.14 夏目漱石『こころ』

それと思える腰の定まらなさ、著者の変心が見受けられたため、調べたら連載作品だった。最初に登場した外人なんだったの?

2022.06.某日 イワン・ツルゲーネフ『はつ恋』

世界に名だたる文豪・文芸作品が、どんな初恋を語って聞かせてくれるのだろうと、胸ときめかせたわけだが。
イケメンは正義という、有史以来のあたりまえに直面させられただけだった。

2022.06.某日 アーネスト・ヘミングウェイ老人と海

うだうだと自分を鼓舞していくくだりを挟んで、静かな前段と余韻は心地よい。
あいだの部分が問題で、『課長王子』でギターを弾きながら悦に入って自分語りをしている主人公が大好きならきっとフィットするであろう。
そうでない読者にはとても苦痛だった。

2022.07.07 チャールズ・ディケンズ『クリスマス・カロル』

1843年出版の作品に、これほどまでにわかりやすく幻想的な著述がなされていたことに驚きつつ。スクルージの改心こそが主題であろうが、その前提に疑問を抱いてしまい、得た驚きを素直に楽しめなかった。
ひとつは、高利貸しは死者から追い剥ぎするような輩よりも悪であるのかということ。悪の改心が主題であるならば、スクルージよりも、古道具屋に死者から奪った盗品を売りさばいた連中のほうがよりふさわしかろうと思われる。救われない最期を修飾するためだけの存在だとするならば、高利貸しをでぃするだけの物語と読めてしまう。当時の感覚あるいは西欧の感覚では、高利貸しは問答無用に邪悪の筆頭であるということだろうか。
ふたつめは、地獄を見せて悔改めよという宗教の図式である。
非常によい幻想の物語であったが、主題に首を傾げてしまった次第。

2022.07.29 マリー・ウォルストンクラフト・シェリー『フランケンシュタイン

原題"FRANKENSTEIN, OR THE MODERN PROMETHEUS"。
現代のプロメテウスたるフランケンシュタインは、火、すなわち怪物の秘密を人類に秘匿したまま世を去った。タイトルは回収している。しかし――
語りは話し言葉や手紙および一人称によるもので、そんな話し方、そんな書き方はあるまいと思わせられがちな叙述である。一人称は大目に見るとしても、これが絶望的に感性にあわなかった。
ジェイソンしかりゾンビしかり、ホラー映画の怪物はご都合主義的全能を示す。少なくとも1800年代初頭にはその系譜はあったと読める作品でもある。あるいは「いわゆる少女漫画」の系譜でもあろうか。少女漫画の主人公というか著者の庇護を受けた登場人物は属性が山盛りになりがちである。怪物、盛られすぎ。
最終局面に至っては、壮大なBLかとも見紛った。あるいは、創造主に対する人類の甘えが創造主を殺した・・・または沈黙に陥れたと見ることもできるかもしれない。
――語り口調で物語られる作品でなければ違う印象もあったかもしれない。

2022.08.09 夢野久作ドグラ・マグラ

ビジュアルが脳裏に浮かぶ文章というか。これは評価すべき点かもしれないが、そのために読めと薦めることはできない。
呉青秀のエピソードに到達するまでものすごく退屈でつまらない。『百鬼夜行シリーズ』の読み味に似ている。妖怪化した事象に説得力をもたせるための場を整えているつもりなのだろうが、ノれない読者にはひたすら辛い。
謎解きパートもザ・ミステリーってカンジですごいバカみたい。
結末は浦沢直樹の『MONSTER』のごとく。『MONSTER』は「は?」ってなったが、本作はならなかった。ゆえに、あとあじは悪くない。
手塚治虫荒木飛呂彦藤田和日郎など、これまで読んできた漫画作品が読中脳裏をよぎっていったことが幸いしてるのかもしれない。

2022.08.22 山本周五郎『さぶ』

『英二』というタイトルであれば、拒否反応が出なかっただろうか。いや、物語の結末も差し迫った段階での卓袱台二段返しがある限り、いかなるタイトルであろうとおなじであろう。オチがああである限りは受け入れることはできまい。つぼの蓋の裏に秘事を書いた男がなにごともなかったかのように訪ねてくるってのは、当時ならアリな振る舞いだったんスかね。

タイトルから察せられるのは、BL作品を書こうとしていたのではないかということである。連載作品であり、わりと初期に方針の大転換があったように見受けられることから、タイトルとは無縁の内容になってしまったのであろう。
『樅ノ木は残った』が「ん?」ってカンジだったので、もう一冊くらい読んでその印象が改まるかどうか確かめてみようとしたが、山本周五郎はどうもあわないようだ。

2022.08.31 フランツ・カフカ『変身』

読後、まったくわけわからんかった。
とある解説によると著者の来歴と対照すると解釈できるようで、そういう背景があるならと得心することもできるが、それって作品としてどうなの、とも思う。