でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

魔術師の帝国《1 ゾシーク篇》《2 ハイパーボリア篇》 (ナイトランド叢書)

『魔術師の帝国』と聞いて頭にまず思い浮かぶのはフィーストの『リフトウォーサーガ』で、C・A・スミスのそれではない。これは、30年くらい前のファンタジー情報で「ゾシーク」というキーワードを得ていてもそれを読む術を見出せずにいたことに由来する。

C・A・スミスといえば、個人的には『七つの呪い』が思い浮かぶ。クトゥルー神話をよく読んでいた頃は他にもなにか印象に深い作品を覚えていたように思うが、30年という時の経過に耐えたのはこの作品だけだった。当時は「シュールで愉快な物語」として読んだように覚えているが、再読してみると滑稽さよりも無機質さというか、本作品を読んで知り得たC・A・スミスらしさというものだけを感じる。

らしさとは、『2 ハイパーボリア篇』の訳者あとがきに記されている内容に集約されるのだが、人物を語るのではなく、風物を語る物語であるということだ。昔話の「おじいさん、おばあさん」のように、「そのような風体の誰か」であればよい物語である。物語の形を取った詩である。
近頃はこのような物語を求めていたように思うが、そんな個人的な希求に対して本作品は度が過ぎた観があり、存分には楽しめなかった。80年代に邦訳された作品くらいがちょうどよいのかもしれない。

とはいえ、この作品を下敷きにしたであろう諸作家の諸作品を脳裏に思い浮かべて楽しむことはできた。『EverQuest』の下敷きはいわずもがなのTSRと察しつつ、しかしこれまで『Wordl of Warcraft』の根っこを見いだせずにいたが、本作品にあるのかもしれないと思ったり思わなかったり。

『ナイトランド叢書』って『魔術師の帝国』発刊時に知って今まで放置していて、現在どんなタイトルが出そろっているのか知らなかった。ちょっと調べてみたら『ドラキュラ紀元』が含まれていて、これはうれしいのだけれど、どういうシリーズなのかよく分からない。