街娼
十年ほど前になろうか。近代日本を形作ったものはなんであろうかと調べて、太平洋戦争とその戦後、日清日露戦争あたりまでさかのぼって、舶来品の植民地主義、帝国主義あたりが要点であると総括し、とりあえずの興味を満たした。
そのとき読み漁った幾つかの書籍において、闇市やヤクザ、パンパンがキーワードとして出現することがあり、興味を覚えたもののインデックスは得られずにいた。
三年前、書評サイトのレビューで本書を見かけ、かつて抱いた興味を思い出したが、その時すでに読もうリストが積み上がっていたため着手は現在に至った。
結論から言うと、興味を満たす内容ではなかった。
短編・中編集であり、物語としては基本的にやおい。意味なしとまでは言うまい。
以下、そのリスト。
1~5がやおい。4、特に5は読み手を選ぶであろうブンガク作品。テーマ性はいはい、いいから物語にオチつけてからやれってカンジ。
6はいつもの阿佐田哲也でとても楽しい。7、8はオチがついてるが読むのが辛い。
個人的に望んでいたものは、ブンガクではなく、登場人物たちの個人的日常でもなく、当時の風俗とかそういうもので、8なんかは1990年代を舞台にしているらしく、望んでいたものとは程遠いという感想しかない。
対象読者でなかったということになろう。
本書はシリーズ紙礫の二冊目で、一冊目に『闇市』というものがあるらしく、ひょっとするとそちらの方が目的に適うかもしれない。