でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

読物 『狩猟サバイバル』

 遠くでかすかにケモノの気配がする。おそらく鹿だろう。彼らは暗闇でも目が見える。夜目が利かないのは、色を見ることが出来る生き物だという。木の実を食べ物にする鳥や霊長類の多くがそれにあたり、人間もそこに含まれている。森の中で木の実を見つけ出すために、私たちの祖先は暗闇でものを見ることを捨てたのだ。ヒトが生きるための戦略として色を選んだのなら、私がいま暗闇におびえるのも仕方がない。

P.157

 未知を既知に換えてくれたということにおいて、本書は我が身の糧となった。
 だが、登山、釣り、狩りをしないからであろうか、著者の哲学に対して理解も共感も生じない。著者が実践した中でしか得られない経験、そこからしか得られないなにかもあるのであろうし、そういうものもあっていいとも思うのだが、著者の主張に対する実行の方向性が間違っているという印象のみが強調され、どうにもそれが拭いがたい。
 記述の端々から透かして見えたものが、あまり好ましいとは思えなかったことと、それはきっと無縁ではない。