読物 『「守り人」のすべて』
なぜ、短槍なのか。
著者はどのような武術経験をもつのか。
新ヨゴ皇国の東とか、ロタ王国の西とか、カンバル王国の北とかどうなってんの。
そんなことが気になっていたので、入手することにした。
ぽちってから、その辺のことがネットでヒットするようになった。巡り合わせの妙なるかな。
短槍の由来は、『精霊の守り人』そのものの着想ともなったもので、「映画の予告編かなにかで、男の子の手を引いてバスから降りてくるおばさんを見た」ことがきっかけとなって、「短槍をかついだ三十路の女性が、(血縁ではない)男の子と手を繋いでいる」インスピレーションがわいたことからだという。
武術経験は、著者が大学生の時、古流柔術の道場に通っていたことがあるそうな。
本書の中に、前者については語られているが、後者については語られていない。世界地図については、刊行されたものに付属のものが一冊で総覧できるので便利ではあるが、物足りない。
著名人の寄稿が幾つかある。金原瑞人は、荻原規子、小野不由美と並べて、三羽烏と評し、上橋菜穂子を頭一つ抜けているという。『グラン・ローヴァ物語』までの紫堂恭子に対するコメントも聞いてみたいところだ。
英語版翻訳の話や、『天と地の守り人』後日談の短編などは楽しませてもらったが、是が非でも手に入れておきたい一冊というほどではない。