このタイトル、サムネイル化されたカバー装丁画像が、第一印象として牧歌的なものを我が身に植え付けた。
その内容はあにはらんや、忍術ならぬ忍略なるものを無情に描いたもので、直前に読んだ『柳生兵庫助』の一時代前となる舞台設定であることに奇しなる縁を覚えつつも、喜び狂いながらむさぼるように読んだ。
ほぼ同年代の著者がもつ、忍者というものに対するイメージはたぶん、我が身がもつそれと大きく異なるものではない。狂気から覚めさせられた終盤、そんなことを思うようになった。
嗜好の作品となりえたかもしれない。
戦闘描写に終始した終盤の展開が、非常に残念な作品だった。