でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

漫画 『王様の仕立て屋』

なにを隠そう、服屋のせがれである。

戦前、東京で修業し、戦後、岐阜まで仕入に行ったという祖父が店を上げた。当時はなんでも扱ったらしいが、時の流れとともに転換を図らざるを得なくなり、婦人服専門となって今に至る。現在では入ろうとしても隙間もないが、地元に百貨店が支店を開いた折、ちょうどいい案配にウェルカムで店子に入り、以来半世紀。ブランド志向に転じた百貨店側の思惑とは裏腹に同部門では上位の成績を維持し続けて、居座り続けている。そんなところからも百貨店と地元商店街との折り合いの悪さが垣間見え、となれば市中心部の空洞化もむべなるかな。

さておき、同門に、在りし日々水商売をしていた方がいて、ふとした折にそんな話題がでたところ、過日にはご愛顧いただいていたことが明らかとなり、また是非よろしくとお願い申し上げたが、高くて手が出ないなどとダメだしされつつ、当時、一品モノを扱う店は他になかったことを教えられた。その店の服を着ていることが自慢であったと。事実無根ということもなかろうが、世辞には違いない。小規模な拡大と最終防衛ラインまでの撤退を経験した家業の裏事情と、おそらくは無縁ではない方の一人であろうと察する次第である。

勿論、継いでいない。

衣食住というが、食住衣ではあるまいかという感性の持ち主が立ち入ってはいけない領域であろう。たとえばファッションというもののランクを十段階にしたとして、二段階か三段階程度のモノで十二分と考える程度の了見であるからして、稼業は弟に任せ、生来の無頓着を貫いている。

そんな男だが、この作品は面白いと感じられる。
衣にというよりはトリビアに、著者の広い見識に惹かれているとしても。

絵は、下手だ。良くいえば80年代の風合いを色濃く残しているといえるが、一向に上達する気配を見せない。だが、良くフィットする。

既刊26巻のうち、13巻まで読んだ。まだ飽きないのは、昨今では実に珍しいことである。