許永中という名を初めて目にしたのは、格闘技関係の情報に触れている時のことだった。
ゴッドハンドを支援した在日のアウトロー、そんなふうに記されていたように思う。
そのときには特に強い興味を喚起されることもなかったが、幾度かその名を目にし、先だって読了した『同和と銀行 三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録』にも記述されていたことを縁にして、着手に至る。
要約すると、不平等な法に吊るしあげられたスケープゴートを主題とした、亀井静香と住銀を告発する書、ということになろうか。
本書によって、三島由紀夫が『あしたのジョー』の愛読者であったことを知り得たのは余談である。