その後のだいきょうきん理論
肘筋の問題を解決するのに三日くらいかかったことから、面積にしても数十倍と思われる大胸筋はかなりの日数を要すると漠然と考えていた。
効果的な方法はないものかと調べてみたところ、バスト由来の肩こりの要因として胸筋のストレッチを推奨する情報には巡り合えても、「これぞ胸コリ解消法!」というようなものは見受けられない。
男子にしてはバストはあるほうだが、女子のそれ向けにフィットするものではなかろうと考えまた、ストレッチとは柔軟性を高めるためのものであり、同部の柔軟性は比較的良好に保たれている我が身には無縁のものと、初見においてはそう決めつけた。結果からいえばこれは誤りであり、胸筋に男女の別はなさそうだということがわかったことになる。
コリをいじるとき、再現性が高い場合、その部位は副次的な発症である疑いがある。いくら揉みほぐしても、すぐに元の状態に戻ってしまうようなケースだ。こういう場合、原因となる要素が他にあるらしいということがわかってきた。
最近の例で言うと、手指、手首の原因不明の疼痛があり、これは肘周辺をいじることによって緩和・解消した。腰痛には大腿部、足首の痛みは膝という例もある。
そういう部位は、触ってみるまで痛みを感じないようである。触った途端ひどく痛みを感じたりすることもあれば、押しても痛くない、なにも感じない場合もある。なにも感じないというのは、刺激の強度に比して、触ってるというか、圧迫されているという程度の感覚しかえられないことをいう。いじっていると痛みが出ることもあるが、やがて痛キモチいい具合になり、身体に具体的な効果が現れる。
少なくとも、俺学ではそうなるようだ。
さて、大胸筋は。
まずはなにも考えずにゴリゴリやることから始まって、効果はあるが復悪も早いことを知り、先のストレッチを応用して、いわゆる「胸を開く」動作を行うことにした。その上で、コリを感じる部位を触診で探し、いじった。いじり倒した。
胸筋のある部位を押すと、背筋や首筋にびりびりと伝わってくるものがある。繋がっていることがわかるようなアレで、少しだけアミバのキモチが分かった気になるような俺デク感を満喫しつつ、一月ほどの試行錯誤の結果、肩コリ、首のコリが久しくなかったほどに快調となった。
適度に柔軟であると考えていた肩の柔軟性が向上し、というか、スペックに近い性能を発揮するようになったと考えるべきか、コリが原因で著しく稼働性能を欠いていた首の動きもマシになった。
まだ違和感があるが、いじり方が足りないのか、他の要因に依るのかは不明である。
四十肩とか五十肩とか詳しいことは知らないが、大胸筋由来とかあったりするのかなと思ったり思わなかったりしたことは余談である。