でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

読物 『ドラゴンランス秘史 ドワーフ地底王国の竜』

機動戦士ガンダム』という作品群を、実は、それほど好きでもないらしいと悟ったのは、つい先頃のことだ。
学生時代、ツクダのウォーゲームを好んでプレイし、麻雀のBGMには二枚組のサントラをかけ、『ガンダムセンチネルRPG』を楽しんだ経験はさておいて、適当ではない場でその話題を好んで語りたいとは思わないことに気づいたのである。あるいは、気心が十分に知れぬ相手とはあまり語りたくないということなのかもしれないし、適当ではない場で話題を振ってくる相手に嫌気がさしているだけかもしれないが、ところかまわず発情できるほどのFavoriteではないということには違いない。

いわゆる我が身のガンダム嗜好というものは、一年戦争の空気を十分に含むものであるらしい。それはつまりアムロやシャアであり、MSVを含むものであるが、後付け臭のきついものは除外されるようだ。具体的には、Z、ZZ、0080逆シャアは正統なる後継と認識しており、それ以外はF91と∀を例外として好まざるものということになる。

ドラゴンランス』シリーズについても、同様の嗜好にあるようだ。
『~戦記』『~伝説』は正伝であり、『~英雄伝』は一部正統なる外伝が含まれるが、正史の存在の重さからか、どうでもいい作品が少なからず含まれる。それらの在り方として、例えば『ゲド戦記』外伝『名前の掟』に通じるものもあるが、著者本人の作品でないがゆえに、ピンぼけ感が拭い得ない。
著者本人の作品でも二世代目以降の話はなんか違うカンジ?しかなく、ちょっと前に日本の漫画でも流行った息子モノと同様に、どうもなにかずれているような印象をしか得られなかった。本来なら正統であるはずの『夏の炎の竜』『魂の戦争』は∀級にトんだ話であるが、ぶッとびすぎていて「終わった」観がぬぐい得なかった。

本作品『DRAGONS OF DWARVEN DEPTH』は、「カーラスの鎚」を巡る一連のエピソード、『~戦記』では語られることのなかった物語を綴ったものだ。Webのあちこちで見受けられるように、『~戦記』『~伝説』を最小限の前提条件とし、既存作品をすべて読破することによって最上級の楽しみが得られる内容となっている。後発者を迎えるためのシリーズもののジレンマをいたしかたなしとしたつくりだが、先発者にはこの上ない福音だ。

『~戦記』において唐突に、予備知識のない読者を突き放すように登場した「カーラスの鎚」は、いわばV作戦の要を握る超重要アイテムだが、由緒正しい存在であるにも関わらず、物語的にはぽっと出で、ゆえに、ご都合主義的な印象をまず与えられた。
TRPGを嗜んでいたからこそ、当時、広く公開されたとはいえなかった情報を拾うこともできて、AD&Dのサプリメントとしては存在するが小説では割愛されたエピソードであると十二分に理解し、その印象を改めることもできたが、物語を補完する位置づけに思えた『~英雄伝』に語られなかったことは不満で、もはや語られることもないであろうと諦めていた。

その割愛されたエピソードは、『~戦記』に納めるには確かに長すぎる。短く語ることもできたに違いないが、当時としては割愛することが最上の判断だったのだろう。それは正しかったと個人的には感じられる。
その一方で、二十年という時の流れが与えたに違いない影響を慮り、そうではない状況で読みたかったという思いを禁じ得ない。というのは、アルハナと出会う前のスタームはすごく鼻もちならない奴であったことを久々に思い出させられ、その印象でスタームが固定されてしまったからかもしれない。高潔だった我が身の中のスタームくん、さようなら。

ドラゴンランス秘史』シリーズは全三部作となる予定で、第二巻はキティアラの暗躍を、第三巻ではアリアカスのもとでのし上がっていくレイストリンの物語が語られるという。

第二巻『蒼き女卿の竜:DRAGONS OF HIGHLORD SKIES』には、氷壁のエピソードも掲載されるらしい。これまた唐突に登場し、登場したときには死んでいたフェアル=サスについても存分に語られることだろう。このエピソードについては、アイス=リーヴァーという斧をもってフェアル=サスにうちかかるローラナの姿を画集に確認しているが、サプリメントを遊んでいない身の上にとっては未知の内容である。

第三巻『時の瞳をもつ魔術師の竜:DRAGONS OF HOURGLASS MAGE』は望外の期待作である。著者群の愛を一身に背負った男、クリンの島耕作、神々に挑んだ野望一代男レイストリン=マジェーレの成り上がりが綴られるらしい。
おそらく、ご都合一辺倒でしかなかった日本のライト系作品群の魔法使い観に一石を投じた存在であり、この男なくしては存在し得なかった作品も少なからぬものであろうと思われる。日本ではイマイチメジャーではないが、この一世代中に与えた影響力は潜在的に大きかろう。
実に待ち遠しい。

最後に。
蛇足にして余談であるが、本作品は「スターム王子」と「金色の"毛むくじゃらのマンモス"」がキモ。