でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

読物 『青の騎士ベルゼルガ物語』

深く層をなす灰の大地に怒れる天の鎚がふりおろされる。北関東戦区北部はそんな地域だ。
雷都を自称するこの都市は、かつては軍事都市として賑わいを見せもしたが、それがゆえに徹底的な、それこそ灰燼に帰すほどの打撃を受け、みるかげもなく復興して今は三流以下のごくありふれた街となった。
餃子とカクテルの薫る、ここはウツの街――
百年に一度とされる世界的波紋に、ただなすすべもなく身を震わせるしかない地方都市。



わかってはいるのだ。
やがて訪れるであろう帰結にはすでに到達しているがゆえに。そこに至るまでにどれほどの興奮がこの身をふるわせようと、それが錯覚であったと思わせるほどに大きな失望が訪れるであろうことは。

かつて愛し幾度も読みなおしたにもかかわらず、まるで初読のように読みすすめ――
だが、深淵に至ることはついになかった。これまでに数度実施された粛清を、『K'』および『絶叫の騎士』は免れ得なかったのだ。巡礼の旅は、二巻で終わった。

俺はこの作品をほんとうに読んだのか。
以前は全く気にならなかったラノベ臭がひどく鼻につく。知らないふりをしているわけじゃない。ソノラマは、今でいうなら間違いなくラノベノーベルだ。
ひどく粗雑で、稚拙だが、ただ一つだけ、激突する鋼鉄の描写にだけは感性が揺れ動いた。

ここには確かに、かつて愛したものがある。

本放送中にあまりにふつうに登場してしまったがゆえに、けだものの知性をしか有していなかったかつての我が身はカスタムATに、MSV感をかんじることはなかった。
たとえ、アレとかコレとかいただけない設定をはたノワールwで塗りつぶそうとして失敗したのだとしても、それを我が身に覚えさせたのはこの作品であることは否定できない。あるいは、そう感じさせるためには二次作品である必要があるのかもしれない。
ともかく、現に在る大いなる本流の、細いが確かな源流の一つであろう。

パイルバンカーに、シャドウフレアに、オクトバに燃え、ロニーに萌えた。
作家というものの在り方を疑いもしなかった。
幡池裕行を知り、うおおすげえと無邪気に憧れた。
そんな回顧をするのも、たまには悪くない。