でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

読物 『トレジャーハンターシリーズ』

「お気の毒さま、べえ」と赤い舌を出す。「あんた結構、根が正直なのよね。あたしを組み敷こうと決心すると、きっちり二秒後に鼻の下が二センチ伸びるわけ。一秒一センチよ。それなんとかしないと、跳びかかる前に女の子はみんな貞操帯つけちゃうから」

第二巻 『エイリアン魔獣境Ⅰ』

――おれは、世界中になぜトラブルの火種が絶えないのかわかるような気がした。小利口な爺いばかりが生き残り、こういう阿呆が先に死ぬからだ。

第三巻 『エイリアン魔獣境Ⅱ』

 有名なのは第三の御使とラッパである。

“第三の御使ラッパを吹きしに、燈火のごとく燃ゆる大なる星天より隕ちきたり、川の三分の一と水の源泉との上におちたり。この星の名は|苦艾《にがよもぎ》という。水の三分の一は苦艾となり、水の苦くなりしに因りて多くの人死にたり”――ずばり、凶名暴虐をもってなるフン族の首領アッチラのヨーロッパ大侵冦を指すと言われている。中央アジアの僻地より出現したフン族は四五一年にライン川を渡り、パリ東方のカタラウヌム平原で、西ローマ・ゲルマン諸部族連合軍と対決、死者一六万五〇〇〇人を出した。このときは連合軍の名将アエチウスの知略とフランク族長メローブス(のちのフランク王朝メロヴィングの基礎をつくった人物)の活躍で敗退したが、翌年、北イタリアに侵入、ローマに迫る勢いを見せ、結局は莫大な貢献金と、教皇レオ一世の懇望によって撤退、本拠地に戻る途中、ドナウ川畔で没した。遺体は川の流れを変えて川床に埋葬され、“燃える大なる星”は“川の三分の一と水の源泉との上におちた”のである。

(中略)

 ――と、まあ、こういう次第だ。なんとなくこじつけめいてもいるが、現在の黙示録研究の分野で大局を握っている解釈に文句をつけてもはじまらない。

第四巻 『エイリアン黙示録』

 アメリカのハードボイルド・スターにジョージ・ペパードという玄人受けする渋い二枚目がいて、普段のおれはそいつによく似ている。それが、ひとたび破顔した途端、どういうつもりか桂文珍そっくりになってしまうのだ。いぶし銀から寒天フェイスへ――ここ二、三年、この落差を埋めるのが、日常におけるおれの最重要課題なのである。

第五巻 『エイリアン怪猫伝』

「それでも違うんだ。米といってもササニシキだのコシヒカリがあるのと同じだ。車にもパトカーとジープの区別がある。女にも美人と林真理子がいるんだ」

林真理子――怖い」

第八巻 『エイリアン邪海伝』

高校時代に名前だけ所属していた同好会に原稿を出せと要求され、数ページ描いた。

大学時代には、『WARES BLADE』を利用した超伝奇っぽいナニをやった。

かようにオマージュを捧げ、『これから出る本』を欠かさずチェックしていた青い熱意は、上中下を軽やかに受け流したものの、『完結編1』はさばききれず、熱量はそのままに怒りへと変換され、以後、どちらかというと避けるようになった。

その後、『エイリアン魔神国シリーズ』は完結したらしいと風の噂に聞いたような気がしないでもなかったが、スルーしていたことは言うまでもない。

BookOffの罠にはまって『妖神グルメ』を失って久しい。このところ顕著になってきたどうにもならない飢餓感を満たすべくソノラマ文庫を探索するようになって、ふと、『トレジャーハンターシリーズ』が今どうなっているのか気になった。調べてみると、書き下ろし短編を収録した新装版『トレジャー・ハンター八頭大』になり、新刊も出ているらしい。

なんとなく、久しぶりに再読してみる気になった。どんなものであれ、未練を残すのはよくない。

以下、ソノラマ文庫版のリスト。

 ・エイリアン秘宝街

 ・エイリアン魔獣境1

 ・エイリアン魔獣境2

 ・エイリアン黙示録

 ・エイリアン怪猫伝

 ・エイリアン魔界航路

 ・エイリアン妖山記

 ・エイリアン邪海伝

 ・エイリアン京洛異妖編

 ・エイリアン魔神国 上

 ・エイリアン魔神国 中

 ・エイリアン魔神国 下

 ・エイリアン魔神国 完結編1

 ・エイリアン魔神国 完結編2

 ・エイリアン魔神国 完結編3

 ・エイリアン蒼血魔城

 ・エイリアン黒死帝国 上

 ・エイリアン黒死帝国 下

 外谷初出はこのシリーズ二巻だろうか。

 Wikiで著者来歴を見ると少林寺拳法の経験ありとされ、著作にも登場するとの記述が見受けられたが、お目にかかったことはないような気がしていた。再読に当たる第四巻『~黙示録』に登場しているが、まるっきり覚えがない。高校当時には興味を引くキーワードではなかったということになる。

 『蒼血魔城』では「ジルガ」なる古代インドの武術を十四歳の時に体得していることになっているが、もちろん、ここに至るまで本編中には登場していない。あまりにもあんまりな後付け設定といえよう。

 『怪猫伝』には、『ティンダロスの猟犬』くらいには怖気をふるった覚えがあるのだが、時の流れは無情なり。

 やっぱり『魔界航路』が一番面白いな。

 『魔神国』では車載電話、『蒼血魔城』では携帯電話。これもまた時の流れか。

 ダイヤモンドは硬いが脆い。ということを知らないっぽい?

 『黒死帝国』では「銀行のマザー・コンピューター」。イマドキ用語を使うより、らしいのだが、ちょっとアレだ。

 『魔神国』『蒼血魔城』『黒死帝国』というタイトルの意味するところは結局不明なのか、とか。

 普通じゃツマンナイからか、失明させてみたものの、タリオン的に克服されちゃシラケるな、とか。

 失明じゃたりなくて、五体不十分にしたのはちょっと投げすぎじゃーねか、コラ、とか。

 柴田昌弘の描く八頭大、ゆきは、天野某、米村のそれよりなじむな、とか。

そんなことを思いつつ。

体言止めは嫌いだと思っていたが、そうではないようだ。菊地秀行以外のそれを認めないということらしい。かつてなじんだだけあって心地よい。

正直、物語としてはとやかくいうまいというシロモノだが、ラノベで鍛えたこの身体、たやすくは屈しない。むしろ、面白かったといいきれる。

ソノラマ文庫シリーズで再読してしまったので、ソノラマノベルズの未読分を補完する必要がある。