でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

読物 『老人と宇宙』

 考えてみてほしい。二十五歳、三十五歳、四十五歳、それどころか五十五歳になっても、きみはまだまだ世界を相手に闘えるような気がするだろう。ところが、六十五歳になって、自分の肉体に差し迫った崩壊のきざしがあらわれると、“あらゆる内科的、外科的、治療的、療法および処置”が魅力的な響きを持つようになる。七十五歳になると、友だちを何人もなくしているし、おもだった臓器を少なくともひとつは交換しているだろう。ひと晩に四度もトイレにかようし、階段をのぼれば息切れがする。それでも、歳のわりにはなかなか元気だといわれてしまう。
 その状態と引き換えに戦闘地域で新たな十年間をすごすことが、すばらしい好条件のように思えてくる。なにしろ、それを拒否した場合、十年後には八十五歳になり、きみとレーズンとのちがいは、どっちもしわくちゃで前立腺がないが、レーズンには最初から前立腺がないという点だけになってしまうのだから。

第一巻 P.19

軌道エレベータについて)「(前略)いったいなにが、このケーブルを支えているわけ?」
「信念だよ。ケーブルは落ちないと確信していれば落ちないんだ。そのことはあまり考えないほうがいい。さもないとたいへんなことになる」

第一巻 P.37

(CDF――コロニー防衛軍に所属することについて、地球人は情報を制限されている)
「もとの人生は気に入っていた」わたしはしゃべりはじめた。「他人にとって刺激やおもしろみがあったかどうかはわからない。だが、わたしにとっては、よい人生だった。この人生のまえにもうひとつ人生があるなんてことは、あのころは真剣に考えたりはしなかった。この人生がどんなものになるか、じっさいにはじめてみるまでは真剣に考えたことはなかったからな」
「じゃあ、どうしてこの道を選んだんです? どんなふうになるか、すこしはイメージがあったんじゃないですか?」
「いや、なかった。みんな同じだったと思う。ほとんどの連中は、戦場に行ったことも軍隊にはいったこともなかった。だれひとり、軍がわたしたちの中身を取りだして、以前の自分との共通点がわずかしかない新しい体に入れるなんて知らなかった」
「そんなのバカみたいですよ」 ボーア(ゴースト部隊――生前に採取した死者のDNAから短期間で成長促進された強化人造人間の部隊、その若い兵士)がいった。二歳かそこらでは、気配りに欠けるのもむりはない。「自分がどうなるかよくわかっていないのに入隊するなんて」
「まあ、きみは老人になった経験がないだろう。改良されていない七十五歳の人間は、きみたちとはちがい、根拠のないやみくもな行動をとりがちなんだ」
「そんなにちがうものですか?」
「相手は永遠に歳をとらない二歳児だからな」
「おれは三歳です」 ボーアはすこし身がまえるようにいった。

第一巻 P.348

 五日目の午後、人類の各コロニーの配置やほかの知的種族との関係(はっきりいってつねに険悪だった)についての説明会の場で、第八分隊は、コロニー時代よりまえに生みだされた、エイリアンとの星間戦争を題材にした思弁小説とエンタテインメントの批評をおこなった。評決はおおむね一致した。『宇宙戦争』は高く評価されたが、結末だけは安易なトリックとみなされた。『宇宙の戦士』は、すぐれたアクションシーンがいくつかあったものの、あまりにも多くの哲学的な概念の展開が必要だった。むしろ映画のほうが好評だった――たとえ、そちらのほうがレベルが低いとわかっていても。『終わりなき戦い』は、隊員たちの多くに不可解な悲しみをもたらした。戦争がそんなに長くつづくという考えは、生後一週間の人びとのグループにはほぼ理解不能だった。<スター・ウォーズ>を鑑賞したあとは、全員がライトセーバーをほしがり、現実にはそんなテクノロジーが存在していないことに腹をたてた。イウォーク族は皆殺しにするべきだという意見には全員が賛同した。

第二巻 P.134

GANTZレベルEと呼ぶがよい!
なカンジがまずあった。著者は『宇宙の戦士』をこよなく愛しているようだが、その映画版はもっと愛しているようだ。

そんな印象を抱きつつ。

第一巻『老人と宇宙』、原題"Old Man's War"は、75歳の新兵と6歳の中尉の物語。
『宇宙の戦士』なカンジで、主人公がややキムボール・キニスンで、結末は『夏への扉』なカンジだった。

第二巻『遠すぎた星』、原題"The Ghost Brigandes"は、1歳の新兵の物語で、『たった一つの冴えたやり方』な(ry

第三巻『最後の星戦』、原題"The Last Colony"は、90歳になった75歳と18歳になった6歳が5歳の養女を引き取った後の物語。『無責任提督(ry

第四巻『ゾーイの物語』、原題"Zoe's Tale"は、第三巻の裏話。『アザリン十六歳(ry

ゴジラとかガメラとか草薙素子とか。日本へのオマージュはハインライン仕込みか。
んなどうでもいい個人的感慨はさておき。

最近読んだハヤカワFTとは比較にならぬ高密度な文字配置で、とても落ち着く。

SFかと思ったらスペオペ(悪い意味ではない)。
このジャンルでは個人的には『銀河ヒッチハイクガイド』以来の大ヒット。面白さ夜更かし級。ただし、補完する内容とはいえ、第四巻は75%くらい第三巻とかぶるので、やや食傷感がある。

さておき、ここのところずっと思っているのだが、邦題のセンスはなんとかした方がいい。