読物 『猫物語 黒白』
エピローグゆえの上から目線の全能感はまったく通用しなかった。
(黒) P.293
10/21以来、幾つか物語作品を読んできたが、それがしかと自覚できるくらいに、感性の変化が起こっている。在りし日の『ベルセルク』でガッツが吐き捨てた幾つかの言葉――真逆の意味を持たせられた常用句ら――に感じさせられたものに、それは似ている。
西尾サンの作法、言葉遊び、にもだいぶ慣れた。古い例となるが、秋津透のルビ文体への慣れと似ているだろうか。
慣れてしまえば残された問題は作品の出来不出来だけとなるわけだが、アニメシリーズの衝撃がまだ残響しているのか、楽しませていただいている。
西尾サンの書いたものは『化物語』シリーズ以外には、なんとかサイクルを読んだだけで、そちらはかなり気に入らなかった。正直だから、このシリーズに着手するにあたってだいぶ迷いはあったのだけれど、アニメ作品が相当ツボに入ったから、読んでみる気になり、以後続刊を欠かさずに読み続けている。