読物 『軍靴の響き』
数え上げれば、なんで読んでこなかったのかという作家は少なくない。
読書にもルートがあるということになろう。小説に目覚めた中二の冬、それは菊池秀行ではじまり、高千穂遥をかじって平井和正へと進んだ。中学では小説の趣味をもつ友人はなく、高校に進んで、栗本薫や新井素子、渡辺由自、清水義範や今野敏を紹介された。他にもあるかもしれないが、覚えているのはそんなところだ。
気に入ったものもあればそうでないものもある。気に入らなかったものを紹介してくれた友人の読むものは、趣味が合わないと忌避したに違いない。
おそらく、そんな理由で半村良を読む機会に恵まれなかった。星新一もそうだ。
読んでみれば、我が身が乗った流れを支流とするなら、本流の一つと思える。
『軍靴の響き』という言葉を、どのようにして耳にしたのか。
文学的修辞としてか、本書のタイトルとしてか、さだかではない。
本書は、架空戦記にカテゴライズされるのだろうか。
ODAや銀行に関するアレコレの読後では、本書のどのへんまでが架空で、どのあたりが現実なのか、気になるところである。