でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

読物 『援助貴族は貧困に巣喰う』

――「水漏れ」とはトップによる窃盗を優雅にいい表したものである。

P.302

 ここで起こっていることを表す専門用語がある。それは「飛ぶお金」(「キャピタル・フライト」――通常は「資本逃避」の意味で使われる=訳注)というものだ。なにか新しいゲームの名前みたいでわくわくする。ゲームのやり方はこうだ。豊かな国の貧しい人々の税金から徴収される公金が、「外国援助」という形で、貧しい国の豊かな人々の手に移される。貧しい国の豊かな人々は、自分の安全のために、再びこのお金を、豊かな国の豊かな人々に払い戻す。この収奪のサイクルにひそむ真のトリックは、この間ずっと、貧しい国の貧しい人々を助けていると見せかけるところにある。この勝負の勝者は、一瞬も大まじめな顔をくずさず、その間に銀行口座に何十億ドルもため込むことのできるプレイヤーである。

P.313

マザー・テレサの名は慈善という言葉とセットで記憶されている。その人となりをよくしらないが、人生をそのことに尽くした人物であることは記憶に深く刻まれていて、だからそんな人物が援助に否定的な見解をもっていると初めて知ったときにはまず驚き、やがてその背景を勘繰った。そうと知ったとき、それくらいには大人になっていた。

FAO 国連食糧農業機構(機関)
IBRD 国際復興開発銀行*
IDA 国際開発協会*
IFC 国際金融公社*
IMF 国際通貨基金
ODA イギリス海外開発庁
OECD 経済協力開発機構
UNCTAD 国連貿易開発会議
UNDP 国連開発計画
UNDRO 国連災害救済調整官事務所
UNEP 国連環境計画
UNESCO 国連教育科学文化機構(機関)
UNFPA 国連人口(活動)基金
UNHCR 国連難民高等弁務官事務所
UNICEF 国連児童基金
UNIDO 国連工業開発機構
USAID アメリカ国際開発局
WFP 世界食糧計画
WHO 世界保健機構
(*は世界銀行グループの機関)

以上に列挙した組織名は本書に登場するものである。これらについて、幾つかはよく耳目にふれるものであろう。
まだTVをよく見ていた頃、UNICEFやWHOのCMは、日本船舶振興会のCMと同程度には目にしたように思うし、FAOやILOIMFなどについてはニュースで時々報道されていたように思う。

昨今目にした噂によれば、日本でもアイドルとして活躍した芸能人が募金活動をやっているが、その実態は不透明で、集めた募金のほぼすべては組織活動のための資金とされ、その目的であるはずの援助にはほとんど用いられていないという。
元アイドルの芸能人は豪邸を幾つも所有し、金の家財道具を所有していることが自慢であるトカナントカ。

本書の内容を精査する術は例によってないわけだが、そんな話も目にしてみれば、なるほど援助活動というものが字面のようなものではない可能性もあるかもしれないと思うようにもなる。
もし、この本に書かれていることが事実であるならば、今後、上述の機関名を口にする際には、僭越ながら一文字追加する――あるいは草を生やす――ことを自らに課さねばならないと感じた次第である。

もう随分と前のことになるが、南米の森林資源が危機的状況にあることが大きくとりあげられたことがあった。まだそこそこTVを見ていた頃だったと思う。報道内容の記憶として印象に強いのは、地元住人が焼き畑のためにそうしている、ということだった。
だがこれは、世界銀行が出資したプロジェクトの結果であると本書はいう。
環境がどうとかCO2削減がなんとか声高く唱えられている昨今だが、「エコはビジネス」という言葉を目にしたこともある。

援助もビジネス、エコもビジネス。
世界を動かす血流とやらは、どうやら静脈血らしい。