でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

読物 『チベット旅行記』

だから私は、どうも子供をむやみにばかだとののしったり、記憶力や判断力が足りないことをむげに卑しめて、自信を失わせてしまうのは、その子供の発達を妨げる教育法だと思い、子供に自信をつけて、十分進めるのだという観念を起こさせるように教育することが必要だということをチベットで悟ったのである。

下巻 P.137

TRPG『WARES BLADE』は、4を基数としている。
1リートは4メートル、1リーは4キロメートル、1リットは4センチメートル。
戦闘ターンの最小単位である1セグメントは4秒。
ただし、貨幣や時間(1刻=2時間)は対象外。
4を基数にしながら10進法の単位換算しか用意しなかったのは便宜のためか。

この独創的なアイデアをずっとオリジナルだと考えていたが、小説版『聖刻1092』で主な舞台となった「中原」の諸地域の一つ、おそらくはモデルとなったチベット、その貨幣の世俗的運用に着想を得たのかもしれないと、本書読後に思うようになった。
同世界が「中原」と表現する舞台がいわゆる中央アジアあたりを指していることは、明確に読み取れる情報として小説やゲーム世界に紹介されているが、どういうわけか我が身はそれをしかとは認識できないまま今日に至っていることは余談である。

本書は、1897年にチベットを探検した日本人の自筆記録、その抄訳にして現代語訳である。
抄訳といっても原著の75%程度はフォローしたようで、原著を知らぬが故に、現代語訳のためにどれほど原著がもつものが損なわれたかは不明である。

しかと読み取れるのは、現代人の多くが経験することの叶わない「旅」であり、異国を異文明と感じることのできた「時代」である。
著者は、仏法修行の一念から当時鎖国状態だったチベット密入国したという。僧というには方便多用のありさまはいささかいかがなものかと思わざるを得ないが、同時代人たる大谷光瑞明石元二郎と対照するに、後ろ盾もなくばそうせざるを得なかったのだろうとも思う。
やはり同時代人の福島安正についても読んでみたい。