でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

隊長と呼ばれた日

稽古の日。
自宅からわりと遠くない職場は、スムーズに事を運べば自宅で軽食を取ってからの稽古開始を可能にする。ために定時でそそくさと席を立ち、速やかに退社することがならわしとなっている。
オフィス前に停めた単車にうちまたがったとき、駐車スペースに侵入してくる車両があった。オーナーが帰社したのだ。
会釈をして、帰り支度を続ける。ヘルメットをかぶったところで勢いよく車の戸が開いた。
改めて挨拶をしようと顔を上げると、思いがけないことに、例の四歳が後部座席からまろびでてきた。我が名を連呼しつつやってくる。八歳の兄も駆け寄ってきてオッスとかいう。
Indifの時は長かったが、たった一度のクエストでAmiらしい。
「またあしたもくるよね?」
とは言われても会うことなどないのだが、
「くるよぉ」
などと応じつつ幾度も「バイバイ」のキヌギヌを重ねる。
すでに走り出した背中になお「じゃあねえ!」と声をかけられ、右手を上げてそれに応え去った。
そんな日。


「どんなふうに平日すごしてる?」
稽古前、たしか十歳の男子が、いきなり問うた。
児童はよく、こんな質問をする。しかもよく繰り返す。望みどおりの回答が得られるまで、耳に入らないということなのか。
さておき、
「朝起きてメシ食って仕事いって帰ってきてメシ食って寝る」
とかユメもキボウもない回答をしたら「かわらない」とかぬかす。「かわりばえしない」といいたかったのかもしれないが、まあよい。キミはどんな風にすごしてるのかと問い返してみたら、ウダウダと長くなりそうだったのでツッコんでとめた。
間があり、終わったかと思いきや、続いた。
「じゃ、××、日曜なにやってる?」

××には、我が身の呼称らしい単語があったようだが、よく聞き取れなかった。
通常、道場では、先輩、ちゃりさん、そのように呼んではならないといっているが先生と呼ばれる。そのほか、せんべい(『先輩』のガキ活用か?)、カマキリさんなどの例外があるが、そのいずれでもない。かつてそう呼ばれたことのないものだ。

「いま、『たいちょう』って言った?」
確信はないが、聞こえたままの音を問い返してみる。
「うん、間違っちゃった」
なにをどう間違うのか。いやまて、俺様ちゃんも小学生の折、ガッコの担任にむかって「おかあさん」と大声で呼びかけてしまったことがある。これは小学生にはままあることらしいと後年知り得たが、当時はかなりアレだった。
さておき、邪悪とかドワーフとか反逆児とか、短からぬ人生においてさまざまな呼称を得てきた我が身だが、『隊長』は初めてかもしれない。『司令』と呼ばれて萌えた炎尾燃のキモチがなんとなく理解できたような気がする。
なお、彼がなんの隊員で、我が身がどんな隊長に間違われたのかは不明である。