でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

沙耶の唄

ついったーかなんかで知った時、クトゥルフ物だと併記されていたような気がしてそのつもりで読んだのだが、読後、そうではない印象を得て調べてみたら、特にクトゥルフ物と謳っているわけではなかった。推薦者の印象を真に受けてしまったか、誤解したことになる。

クトゥルフに初めて触れたのはTRPG関連の書籍で、当時周囲で『クトゥルフの呼び声』が遊ばれることはなかったから、青土社のハードカバーを一通り読んだくらいの知識しかない。四大にあてはめたわかりやすい作品が好みだったので、どんな読者であったかは推して知るべし。しかし十代に植え付けられた観念だけはしぶとく残り、銃器で対抗できてしまうクトゥルフ作品はほとんど反射的に嫌うようになって現在に至る。
同じ頃、クトゥルフ物でもある『魔界水滸伝』ははじめ楽しんで読んでいたが、前述の理由で個人的に唾棄すべき作品になり下がったことは余談である。自キャラを立てるためだけに神話を汚すんじゃねえ。

本作品は、耽美な序章から始まり、セカイ系で終わる。
途中、伝統的クトゥルフ物展開になり、ハリウッドになる。概ね良い印象だが、丹保凉子医師の設定が苦しいと感じられ、個人的には物語構造上最大のウィークポイントになっていると感じる。

薦める際は、クトゥルフをモチーフにしているがクトゥルフに連なる作品でないという情報も併記した方が良いと感じた次第。