でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

七人のイヴ

 基本的にすべての実用炉の運転でなされている、通常のかつ健全な発電というのは、まったく使えない状態と暴走とのあいだの、ごくわずかな領域で起こる。

第二巻 P.213

ーー攻撃性という言葉で言いあらわしたものの前に、彼女は身を伏せる。だが、そうすることによってカミラもまた、別の意味で攻撃的になっているーー受動攻撃的に。ダイナのような育ち方をした者には、それがどうしても卑劣に思えてしまうのだ。最終的にはそちらのほうが、あからさまな攻撃性よりも大きな破壊力があるのではないか。

第二巻 P.414 

 

 

地球が生存に適さない環境になることがわかったので、人類はあまり見込みのない種の保存計画を実行する。地球軌道上にその場を求めた人類の生き残りがアーヴになる話(雑

SFと推理小説は似ていると思う。アイデアやガジェットが優先で、そのためにストーリーがゆがむことを厭わないという点において。

月の崩壊。その原因は物語が完結しても語られることはない。これを発端として月の破片が地表に降り注ぐ「ハードレイン」、それにより少なくとも数千年は生命の生存が許されない環境に変化するであろうと予測された。(物語の中では、ハードレインにより地球の大気が高温化することが十分に予測されておらず、それにより想定していなかったトラブルに陥る)

人類すべてを救うすべはないと判断した地球人類は、既存の宇宙ステーションを軸に、人類を絶望に陥れないという政治的判断を主題としたサバイバル計画を打ち出す。
計画はハードレイン開始直前に元米国大統領によって大きく損なわれ、これが大きな原因となって、地球軌道上に逃れた人類は八人にまで減少する。最終的な生存者はすべて女性、このうち年齢的限界により生殖を行えなかった一人を除いた七人が、人工授精と遺伝子改変による新たな人類の祖となる。
これで二巻、この時点での物語のゆがみは、「42歳の女性米国大統領」か。再生後の人類に原罪的禍根を残す役割として米国大統領が選択されたことは面白いが、その人物が子孫を残すために無理めな設定となったことは否めない。

三巻はいわば『砂漠の神皇帝』で、ハードレインから五千年後となる。ものすごいアイデアの奔流で、単語の説明によって物語が損なわれないようにする配慮からか、よくわからないモノ、コトが文章を埋めている印象が強い。何度か読み直さないと頭に入らない。これが三巻の大きな瑕疵。展開的には地味だが、SF映画のビジュアルと張り合おうとしたような印象がある。ギブスン的な斜めな文章で。

まとめとしては、ものすごいSF的アイデアを楽しめるし、物語の構造も興味深いといえるが、お話として面白いかというとそこはSFということになる。

ちなみにアジア人種は絶滅しており、再生もされていない。「レッド」と称される集団の根拠地は「キョート」と呼ばれている。