でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

会計が動かす世界の歴史

歴史という授業が好きではなかった。否、暗記を要する学問は全て。
本書のような書籍を読むたびにそのことを思い出す。しかし、歴史は面白い。中学の科目でいうところの地理も。だが、単語とその意味するところを暗記するだけの「学問」から、それを知ることは難しい。

本書について、序盤は著名な人物を当時の風俗と対照して歴史を語る切り口を取っている。歴史と地理が面白いと感じられる読物になっている。中盤には『銃・病原菌・鉄』の風合いを見せかなり面白くなるが、終盤で尻すぼみの観がある。

簿記はシュメール文明に萌芽があり、文字の発明に先んじていた。文字を持たなかったマヤ文明もキープという記録技術があり、同様のことを行っていた。
複式簿記は中世に登場したが、きちんとした運用はなされず、400年以上の時を要して、株主への報告義務が事業の死活問題となってようやく共通規格として定着した。

技術は生まれてすぐ定着するものではなく、相応の受け入れ態勢が整ってはじめて人類を新たなステージへと導く。そういうことを幾つもの例を挙げて説明している。
終盤に語られていることが、丁寧な語りの積み重ねが行き着く終着点であることは理解できるし、AIに関する考察にも概ね同意できるが、タイトルから想起できる結末ではない。AIは会計じゃないし、会計もAIではない。

KADOKAWAは今なんとなく推したくないのだが、とはいえ、オススメできる程度には面白い。