でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

物理学的ストーリー創作入門

『工学的ストーリー創作入門』を読了して、興味を覚えたために続刊に当たる本書も読むことにした。

「興味」には向学的なものと疑念めいたものが含まれる。向学的興味は「ストーリーの物理とはなんぞや」に集約される。「疑念めいたもの」は、著者が主張する創作テクニック用語のゆらぎに由来する。

疑念についてはまず邦題が悪い。
本文はタイトルから想起される内容ではない。工学的でも物理学的でもない。
定義すなわち用語の説明は後半にあり、著者の主張する定義が不透明なまま前半部を読まされることになる。未定義の用語は文脈によって印象が変わるように感じられ、戸惑いながら読み進めることになる。右脳的な内容を左脳で読み解こうとして混乱させられたという印象だ。
工学的、物理的というならまず定義を述べ、定義についてぶれなく説明していく必要がある。右脳な内容を右脳で読ませるタイトルが必要だったと強く感じる。

そうでなかったにしても、定義をまず述べ、それに基づいて説明するのは、技術書をうたうならば義務と言えるのではないかという憤りがある。
あるいは、工学的物理学的に本書を読み解けば、本書がこのような構成となった理由が読み取れるのかもしれない。そうしなくても想像は働くが。

『工学的~』は目新しさもあってわりと素直に受け入れたが、本書は構成の悪さが手伝って素直に受け入れられない。本手法による実例が二つ挙げられており、それは良いと思えるのだが、実例として挙げられている本(『ヘルプ』と『ハンガー・ゲーム』)を読んだことがなく検証できないため、評価は下せない。

本書を読む場合、まず第四章およびP.215に述べられている定義に目を通してから冒頭に戻ることをお勧めする。あるいは第四章以降のみ読めばいい。