でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

読物 『The Story of V』

邦題『ヴァギナ 女性器の文化史』。

なんと明るいチ〇コ本 『日本男子♂余れるところ』 - HONZ

という記事の紹介物件に興味を覚えたが、図書館に蔵書がなかったことから、類する書籍として示されていた本書を読むに至る。こっちはあったのに、あっちはなかった、ということである。

キリスト教の道徳影響下にある教育がもたらした誤った女性器説」について、ざまあみやがれとばかりに女性器は偉いと書き連ねている、と読める本。
本書が紹介する記述によれば、確かにそれはおかしい。こき下ろすに値する。童貞の想像級におかしい。

しかしその一方で、本書の記述もおかしい。本書がコケにしている過去の偉大な学説に通じるんではないかと思える書かれ方をしている。
例えば、女性器には精子を選択する機能があるそうで、昆虫やらなにやらはオスから獲得した精子をメスが体内に保存する機能があり、また選別して劣るものを破棄することができるという。それはいい。門外漢としては、生物とはそういうこともできるものかととりあえず頷いておける。
しかし、この論が人類にまで拡大され、しかもドヤ顔な文調で語られると。望まぬ妊娠があふれている現実や、肉体的な意味で人生の難易度が高い出生者が存在する現実に反しているように思えて、著者の認識を疑ってしまう。
精子を選別するからヴァギナ偉い!と連呼しているのだが、そのたびに首をひねってしまって、よい読書にはならなかった。

古代人類がヴァギナに抱いていた信仰や畏れ、極東の島国ではどちらかというと迷惑顔をされるタントラへの賛辞など、面白く読めるところもあったので、話四分の一くらいに読める方には薦められる。

その昔、どういう因果で読もうと思ったのか忘れてしまったが、『扇―性と古代信仰』を読んだ。内容はうろ覚えだが、こちらは興味ある人には薦められる面白さがあったように覚えている。

扇―性と古代信仰
扇―性と古代信仰
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吉野 裕子
人文書院
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