でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

読物 『ジャンヌ・ダルク処刑裁判』

歴史上の人物というよりは伝説の中の人物、というとらえ方であったと思う。

裁判記録が残されていることを知ったのは最近のことだが、記録が残っているということに驚かされた。

この記録は原本ではなく、処刑裁判の二十年あまり後に行われた復権裁判後に修正を加えたものであるらしく、さらには写本の写本のまた写本というカンジのものらしい。

それでもなお裁く側からの視点をもって記された記録の中に見るジャンヌ・ダルクという人物は、人間的弱さを垣間見せながらも、知的で、高潔であったろうと思わせる。

脚注によれば、捕らえられたのは退却する軍の殿を引きうけたからであるといい、そうであるならば、信仰がそうさせたのかもしれないが、並みならぬ勇気の持ち主でもあったのだろう。あるいはそれなりの武勇を誇っていたのかもしれない。

ドラゴンランス』シリーズには、さまざまな歴史、伝説を下敷きにしたと思われるエピソードが含まれているが、ジャンヌ・ダルクもそうとう含まれているように思い直された。

ソス卿が神々から大変動を止める力を与えられたという設定にいまいちピンとくるものがなかったが、大失敗したジャンヌ・ダルクと思えば、腑に落ちないこともない。神の声が届かなくなった時代、聞いてくれる人物は稀有だったのだろう。

あえて主題を求めるならば、信仰と権威と政治について、というところか。

読むまえには難解な書であろうと覚悟していたがそんなこともなく、実に刺激的な内容だった。裁く側の人名リストをすっとばして読んだのがよかったのかもしれない。

復刊リクエストされるのもむべなるかな。