亡父の蔵書より。
著者の講演を聴いていなければ、着手することはなかったであろう本である。
蓮如聖人という人物については、八代目門主、浄土真宗中興の祖、という知見しかなかった。
八代目などといえばそれなりの格式というかなんというかを感じ、なにかを思い描いてしまうものだが、当時、浄土真宗は非常に小さな集団であり、門主といえど、その日の食事にも困る有様であったらしい。
本書は戯曲であり、人物評伝ではない。歴史を題材にした他の創作と同様、人物像は著者の想像に依る。
同じ著者が岩波新書から『蓮如―聖俗具有の人間像―』という評伝を出版しているとのことで、そちらの方でいろいろ補完したいところである。