でぃするだいありー?

そんな気はないんだれど、でぃすっちゃってる。 でぃすでれ?

読物 『妖神グルメ』

何年か前に2000冊くらい処分したことがある。BoofOffの出張買取サービスを利用した。

引っ越しも兼ねていたので、売る本と売らない本を同じ部屋に置いていたのがまずかった。窓口となった女性店員に「あちら側は売ります、こちら側は売りません」と申しつけていたのに、数時間後、その部屋にあった書籍は全部売るものとして処理されていた。

個人的に分かりやすく分別していたものも、BookOff的分別にされてしまっている。

すんげーぜつぼー感。

やりとげたぞとでもいいたげなドヤ顔の店員。

作業完了を告げに来た者は、当方の要望を申し伝えた女性店員ではなかった。人員交代の際、申し送りがなされなかったに違いない。せめて人が交代する旨伝えてくれれば、こちらから改めて伝えることもできたのだが・・・

終わってしまったあとでは「売るものと売らないものをわけといたんだがね」としか言えない。

売る売らないの仕分けも当座のものであり、いずれは間違いなく手放すことになる。未練であったと踏ん切ることにし、処分した。

そして以後、手に入れる機会を逸してきた。

一二度は古本で見かけたような気もしたが、あれはひょっとするとオレの手からもぎ取られていったものかもしれないと意固地になっているうちに、古本も見なくなった。

思い出したように時折出物を探していたのだが、気付かぬうちに新装版が発売されたらしい。それにも気付かぬまま時が過ぎ、どうにも再読したくなって、因縁のeBookOffで出待ち登録をして入手するに至った。

旧版のカバーイラストは、腐る前の天野喜孝の手によるもので、それらしい雰囲気のあるものだった。新装版はなんじゃこりゃである。

クトゥルーをモチーフにした作品は数多く存在する。日本発の作品については、おおよそ漫画では落とし子がヒロイックにエログロく云々※1し、おおよそ小説ではクトゥルーをDisる※2傾向になるようだ。熱烈なクトゥルー信者ではないが、そんなんワシの読みたいクトゥルーちゃうねん。勝つまでやめないギャンブラーにも似た、コズミックなホラーがええんや。

というわけで、やや消去法的ではあるが、『妖神グルメ』は日本発の二次作品の中では最高峰にあると個人的に考えていた。

読み返してみれば――

主人公は内原富手夫というが、これは今回の再読に至るまで「ウチハラフテオ」と読んでいた。旧版にフリガナがふってあったかどうかさだかではない。新装版には「ナイバラフテオ」と一目瞭然なフリガナがふってあり、とはいえ、この当て字は物語に影響を与えるものではなく、むしろ深き読者らには誤読を誘導するのではないかと思ったり思わなかったり。

――そんな発見とともに、オレも歳をとったもんだ的ないろいろを感じさせられた。

しかし、これがあったればこそというクライマックスの一言は、個人的に至高として不動の地位にある映画『エンゼル・ハート』のどんでん返しに受けた衝撃と等しくいまでも身に響き、これぞクトゥルー、これぞ菊地秀行と発火してしまうを禁じ得ず、読後のイキオイで映画版『バンパイアハンターD』を再鑑賞してしまったり、『Bruce Campbell VS Army of Darkness(邦題:キャプテン・スーパーマーケット)』を再鑑賞してしまったりした。

OVAバンパイアハンターD』は当時いろいろと厨二だった我が身でもキャラデザインに?ではあったが、とにかくいろいろと好きだ。サントラ未収録の「麗銀星との戦闘シーンの曲」なんかサイコーである。だが、手元にない。これでもいいかとしかたなく再観賞した映画版『バンパイアハンターD』は、見た目に比して菊地成分の含有量は低い。マーカス兄弟がだいなしで、マイエルリンクが小物扱いされた許し難い作品であるが、馬を売ってくれたおっちゃんとか、悪くない部分もある。

キャプテン・スーパーマーケット』は、大学時代、プロレス好きでホラー好きだった男が薦めてくれた。騙されたと思ってみてくれというので、特にホラー好きというわけでもない我が身はまったく気乗りせずに見たのだが、すげー面白かった。余談だが、どうでもいいかんじにクトゥルーにオマージュを捧げている。

前年読み返したエイリアンシリーズにも感じたことだが、在りし日の菊地秀行作品は今でも読むに耐える。

『風の名はアムネジア』も持ってかれちゃったんだよなあ。読みたいなあ。

※1 矢野健太郎とか後藤寿庵とか。

※2 温帯とか朝松健とか。