漫画 『砂の薔薇』
まったくもって、いまさらであるが。
アニマルハウスを購読していた当時、まるでスルーしていたことに、たぶん、理由はない。
敢えて理由をつけるなら、『ベルセルク』を渇望していた当時、女性が主人公の青年漫画にはまるで興味がなかったということになるが、だとしても一読もしていないという事実は我ながら驚愕に値する。さらに理由をつけるなら、歪み始めた絵を毛嫌いしたということになろうか。
そうして時は過ぎ。どこかでなにかを求めていたとき、ふとオススメする評を目にした。
それが、いまさらながらの理由である。
面白い。
八巻で息切れ。以下惰性だとしても。
物語の落とし所となった、ヒロインであるマリーの因縁話は、全15巻のものとしてはいささかナニで、当初はもっと尺の短いストーリーを構想していたと思われる。
昔の漫画および漫画家に対しては思い出補正が強度にかかり気味で、昔は良かった的な感覚に陥りがちだが、そうではないことを思い出させてくれた。初めてこれを感じさせてくれたのは二十年ほど前、松本零士であったことは奇しなる縁というべきか。