ここ最近読んでいるもののなかに、収監の風景を描いているものが少なからずあった。
そのいずれにだったか、「受刑者には飴は『カンロ飴』しか認められないが、なんだか例外的に所内の売店で『ライオネス・コーヒーキャンディ』が手に入る」云々と記されていた。
これがいけなかった。
少女とリスが登場し、リスがキャンディをカリコリするCMでお馴染みの、あのテーマソングが脳内をリフレインしだした。
そして、しばし。
スーパーやコンビニに立ち寄っては、飴のコーナーを目で探る日々が続いた。
意外にないものである。
とあるスーパーで見かけたのは、どれくらい経ってからのことだっただろうか。
食してみると、記憶にあるとおりの味がする。
件の読物では、「所内ではコーヒーが飲めない(一日一杯だったかもしれない)ので、ライオネス・コーヒーキャンディは、コーヒー好きには福音であった」的なことが記されていた。
コーヒーは通常ブラックで飲むが、コーヒーキャンディの甘さは悪くない。
気づけばむさぼり食っていた。常習性がある。
一日で一袋空になるイキオイだ。
あまりにもやばいので、職場の人々に配布した。
脳内リフレインは鳴りやんだが、思い出してしまった味に若干の戦慄を禁じ得ない。