書籍・雑誌
悪党芭蕉。 この言葉から想起されるものはなんであろうか。本文にはそれをこじつけるような描写はあれど、具体的な例についてあげていない。弟子にものすごい遊び人がいたり、罪人になってしまった者がいたり、ろくでなしがいたとして、そういう人物を好んで…
読み終えて数日、読後感に名をつけようと試みてきたが、うまく果たせない。こんな物語を読んだ時にまず脳裏に閃いてしまうのは『石と笛』だ。 『石と笛』は、偉大なことを成す力をもって生まれたものが道を誤り、最も輝かしい成功からは遠ざかりつつも、それ…
『夜の言葉』は拝読させていただいた。まだ『帰還』が発表される前のこと、アースシーの世界をこよなく愛していた頃のことだ。 『帰還』は正直、ものすごくがっかりした。作者自身が構築した世界を自ら否定しているような気にさせられたからだ。 以後、ル・…
前半に透けて見えるのは、おそらく読むであろう関係者への迎合。後半に刻まれているのは、日経コンピュータのドヤ顔。 前半は苦闘の末に実を結んだ健闘を讃えている風に見える。ぬるい内容だが、その中に「このシステムの中核がCOBOLである」ことがさらっと…
韓流というものが流行った時すでにTVを見なくなって久しく、どのようなものなのか興味を覚えたのは何年かしてからのことだったと思う。チャングムが人気でドラマをやっているようだと理解していた。流行りを知るのであればそれでよいかと考えたが、TVは見な…
北欧神話はざっくりと知っている程度で、いろいろと知らないような気がしたので何か読んでみることにした。内容を云々できる知識はないが、本書は北欧神話を網羅的に扱っており、ざっくりとしか持っていない知識を補完するのにちょうど良いと思える。 本書は…
コンクリート、アスファルト、ガラス、シリコンチップ。現代文明に欠かすことのできない資源としての砂を、本書は語っている。砂はどこにでもある。そんなイメージがある。最も豊富な資源、本書もそう述べている。それが枯渇しつつあるという。 コンクリート…
著者のイメージは安彦良和画のアレが強いので、それが読書に影響を与えたかもしれない。戦争終結直後の中国の様子、情勢を知るにはよい書だとしても、だから著者が潜行を志した理由が表面的なものにしか見えない。著述の通りの行動をしているならば、中国と…
十年近くたって、ぼちぼちと手をつけ始めた亡父の蔵書より。 タイトルはキャッチ―。小節を割いて紹介されている程度で、本題では全くなく、この本になんでこのタイトルのかついたのかと考えれば、そう結論付けるしかない。見識を全く持たないので、タイトル…
さくらももこ氏の作品に触れた機会は少なく『ちびまる子ちゃん』を数話ほど、「TVに映っていたので見た」程度である。氏の訃報を知った時、追悼がいくつかTLに流れてきた。そこで本書を知り、これも機会であろうと弔意をもって読んでみることにした。 なじみ…
押井守 ――『攻殻機動隊』も観ていらっしゃらないんですか? 「観てないです」 ――押井守さんから、宮崎さんについては、いろいろ面白いコメントをいただいているんですけど、宮崎さんからはどうなんですか? 「いや、なにを犬に狂ってるんだ、バカってね(笑…
ところで、たまたま古新聞の切り抜きを集めたスクラップ・ブックをぱらぱら繰っていると、このわたしの直観をまさに裏書するような、ある科学的な仮説を立てた学者の見解を紹介した記事が偶然にも出てきて、わたしの目には、その古新聞の小さな囲み蘭に否応…
革命を契機とする国の変革が、無視無欲の平和的なものになるはずがなかった。レーニンいわく、あらたに権力の座についたプロレタリアートの使命は「盗人から盗め」だった。農民と労働者はこの言葉を額面通りに受けとり、都市でも農村でも、裕福な家や地所、…
それでも、監督が生まれた年の日本は、うまく時運に乗っているように見えた。伝統的な制度や習慣を切り捨て、学校制度からステーキディナーに至るまで欧米のものと入れ替えることで、日本は近代化に成功した初めての非西欧国家となったのである。一九三〇年…
ハプスブルク家について俯瞰したいと思い立ち、適当と思えたので読んでみた。ほとんど何も知らないので内容の確かさを云々することはできないが、目的を達成することはできたと思う。本書の難をあげると、中盤あたりからおそらくは洒脱を狙った表現が散見す…
ブンガクというものが嫌いになったのは、大学時代の教養科目であった英文学的な講座を選択した後のことだと思う。小学校、中学校では国語は得意で、「作者の気持ちを云々」「登場人物の云々」というようなテスト問題にも正解を得られていたことはさておき、…
危険な野心は、政府の堅固さと効率を求める熱意の近寄り難い外見の下よりも、人民の権利を求める熱意のもっともらしい仮面の陰に隠れていることのほうが多いものだ。後者は前者よりも、専制政治の導入への、はるかに確実な道であると判明していること、そし…
したがって、年季奉公人制の実態は、一言でいえば「偽装された奴隷制」にほかならなかったのである。年季という制限はあったものの、労働実態は奴隷制下と変わらなかった。あるいは、ジャマイカに派遣されたある有給判事が報告したように、奉公人の状態は奴…
(一九三一年末のこと)[ひとりの役人がやってきて]手帳を取り出し、名前を読み上げはじめた。名前を呼ばれた者は中庭へ行って立って待つように、という命令だった。中庭には武装衛兵がいた。何十もの名前が読み上げられた・・・・・・わたしの名も呼ばれ…
これにはりっぱな理由がある。経済学は、投資銀行家たちの最も基本的なふたつの要求を満たすのだ。まず。投資銀行家は実践的な人材を求める。実践的というのは、学歴より職歴に重きを置くことだ。経済学は最近ますます難解になり、役に立たない数理的論文ば…
フランス革命期の人々には、多かれ少なかれ、自分たちは地球の表面を一新する運動の先頭に立っている、自分たちは未来の人類のために闘っている、という意識があった。自国フランスだけでなく、世界全体を視野に入れ、≪自由と平等≫の思想を広めて世界中の人…
『K'』が発刊されていたかどうかは覚えていないが、『絶叫の騎士』は待った覚えがあるので、1987年あたりが初読であったことは間違いない。当時、1~2巻を好み、3~4巻はそりゃねーだろと思ったことも間違いない。幡池裕行氏のイラストも、メカデザイン…
戦闘シーンと、菊地秀行文体について改善が見られ、より好ましい文章となった。推理小説は鼻で笑いながらでしか読めないタイプのスタンド使いだが、そういうタイプを読者として想定している本作品のスタイルはあいかわらず好意的に評価できる。 型月世界の魔…
これまでの印象は変わらず、ナザリック側の動きはとても楽しめるが、カルネ村とか他国の事情についてはあまり楽しくない。1/10くらいでいい。ここ30年くらいの漫画は物語ではなくシーンを描くようになってきていて、物語としてみると実にアレな印象が強いも…
本書のタイトルのような概念と初めて接したのはおそらく白土三平作品においてであり、無意識のうちのことであった。1990年頃、『花の慶次』をきっかけに隆慶一郎作品に耽溺したとき、道々の輩と表現されるような概念と出会った。その頃なにか読んだり調べた…
学研のまんがでレオナルド・ダ・ヴィンチの逸話はよく読むなどしていた程度で、同時代について執拗な関心はない。それでもルネサンスやイタリアについてはいくばくか読んでいたが、それも20年位前のこと、もういろいろと忘れてしまった。 本書はエッセイで、…
「データサイエンス」と言われる分野の急速な発展は、経済学が多用してきた仮説演繹法あるいは純粋な演繹的推論による理論構築を、枚挙的帰納法による分析が駆逐していくプロセスであると言えるかもしれない。RBC理論からDSGEモデルに至る過去30年以上にわた…
PvPには大していい思い出がない。WoWをPvP鯖で開始したのはEQで一緒だったギルメンがいたからで、Hordeを選んだのも同じ理由による。CataとMoPの間の頃だった。PvP鯖というものがどういうものを意味するのか、あまりよくわかっていなかった。レベル差が全く…
ついったーかなんかで知った時、クトゥルフ物だと併記されていたような気がしてそのつもりで読んだのだが、読後、そうではない印象を得て調べてみたら、特にクトゥルフ物と謳っているわけではなかった。推薦者の印象を真に受けてしまったか、誤解したことに…
『BLAME!』の元ネタみたいなツイートが流れてきたので興味を惹かれて読んだのだが、そもそも『BLAME!』はナナメ読みで終始わけわかんねーと思いながら読んだので、まったくピンとこなかった。 発刊年ではなく、個人的読書履歴の順で印象の重複とかオマージュ…